内部被ばくによる実効線量についての話です。
ここでは実効線量について、あくまで私の勝手な見解と、いくつか注意点もあるので、そこを述べておきます。
ネットで調べれば、良い説明がしてあるところもたくさんあるので、もっと詳しく知りたい方は他を見たほうが良いかと思います。
さて、実効線量とは、いわゆる放射性物質が体内へ入ったとき、人体に与える影響を換算したときの計算上の線量です。
要はベクレルをシーベルトに換算するのですが、国際的な規格にのっとっているとはいえ、正確にシーベルトに換算できるわけではありません。
あくまで「およそ」と言うことを忘れないでください。
また、この実効線量というのは、体内に取り込まれてから体外へ排出されるまでの間に、体が受ける線量を換算したものです。
たとえばセシウムなら、経口摂取の場合100日ほどで体外へ排出されるとされるので、その約100日間で受ける線量を表したものとなります。
ウランやプルトニウムは経口摂取で30〜40年間体内にとどまるとされているので、その30〜40年間内部被ばくした線量を表しています。
ウランやプルトニウムなど長期間体内へ留まる物質の場合、一年当たりの線量を出すときには計算に注意が必要となってきます。
それと、内部被ばくとなる摂取方法には、経口摂取と吸入摂取があります。
経口とは飲食などで口から摂取すること、吸入とは肺呼吸によって摂取してしまうことです。
吸入摂取の実効線量については、気管支や肺などに付着して体内に残った放射性物質による線量を表すのではなく、物質を吸い込んだ時点での線量を表しています。
だいたいの物質は、経口摂取より吸入摂取の方が強く被ばくをしてしまうようです。
特にプルトニウムの吸入摂取は危険性が高いとされます。
以上が注意点です。
では、主要な放射性物質の換算数値を以下に載せておきます。
1ベクレル当たりのシーベルト換算値
ヨウ素131
経口 2.2×10の-8乗
吸入 7.4×10の-9乗
セシウム137
経口 1.3×10の-8乗
吸入 3.9×10の-8乗
ストロンチウム90
経口 2.8×10の-8乗
吸入 1.6×10の-7乗
ウラン238
経口 4.5×10の-8乗
吸入 8.0×10の-6乗
プルトニウム239
経口 2.5×10の-7乗
吸入 1.2×10の-4乗
以上です。
補足をいくつか載せておきます。
10の-8乗とは0.00000001を表します。
小数点が左へ8移動する、と言ったほうがわかりやすいのかな?(余計わかりにくいか汗)
また、換算後の単位はシーベルト(Sv)です。
例えば、500Bqのセシウム137を経口摂取した場合、
500Bq×1.3×10の-8乗(0.00000001)=0.0000065Sv
となり、ミリシーベルトやマイクロシーベルトで言うと、
0.0000065Sv=0.0065mSv=6.5μSv
となります。
また以前も指摘しましたが、世間に出回っている残留放射能のデータの単位は、Bq/kgです。
これは1kgあたりの放射性物質の量(Bq)を表しています。
同じ食材を1kgも食べるということは、主食を除けば滅多になく、現実的には多くて500g程度でしょう。
実際に食べた量も考慮して、実効線量を計算する必要があります。
例えば、セシウム137が500Bq/kg残留している食材を、300g食べたとします。
実効線量の計算は、さっき計算した0.0065mSvにさらに0.3kgをかけた、0.00195mSv(1.95μSv)となります。
実効線量を知りたいときは、以上のことを注意して、計算してみてください。
ただ、あくまで「およそ」の線量であることは、よくよく理解しておくことが必要だと思います。