高速の安全運転、深夜走行の危険性(Y!ブログ)

松宮 湊人

2017年02月08日 06:00

(この記事は私が過去 2013.4.18. に「湊戸ヒサシ」としてY!ブログにアップした記事です)

近ごろ、長野県含め地方の高速道路で、夜間の痛ましい事故が続いています。
それらの重大事故には共通点があると思います。

ひとつは、夜間とくに深夜から未明にかけての事故であること。
もうひとつは、はじめ故障や単独事故などで路肩や走行車線にはみ出したり、または塞ぐような形で事故車両が停まり、そこに後続車が突っ込んで大きな事故となる、というものです。

これは、都会ではなく地方における高速道路上において、深夜・未明の時間だからこそ起きる事故だと考えられます。
その辺りを踏まえて、検証と対策を考えてみたいと思います。



まず、都会と地方の高速道路の違い、そして深夜・未明の時と昼間や早い時間の夜間とは何が違うのでしょうか?
平たく言ってしまうと、暗くて遠くまでしっかり見通せないことと、通行量が少なすぎて道路の状況を把握しづらいこと、です。
昼間だと、当然ながら見通しが良くきき、道路がこの先どちらに曲がっていくかとか、登り坂なのか下り坂なのかとか、道全体の交通状況を目で見て確認できます。
また道路上の落下物とか、故障・事故車がいるとかの発見も、いち早く確認ができます。
それから、都会の高速道路だと夜間でも大抵明る過ぎるくらいにずらっと道路灯があるので、夜でも道路の状況は比較的簡単に確認できます。

一方、地方・田舎の高速道路だと明かりがきちんとあるのはI.C.やP.A.、JCTなどの付近だけで、夜間は基本的にほぼ真っ暗な中で車のライトだけを頼りに走ることが多くなります。
加えて深夜・未明の時間帯は交通量が少なすぎて、逆に道路状況が把握しづらいのです。
ある程度混みあった道ならば、どこかで事故・故障車や落下物などがあっても、前を走る車の動きやブレーキのかけ方、交通の流れなどで、「この先に何かある」と判断をすることができます。
しかし、地方の高速にて深夜にほぼ真っ暗の中、自分の車一台だけで走っているような状況だと、前方に事故・故障車や落下物があっても自分の車のライトだけで判断するしかなく、気付くのがかなり遅くなってしまうのです。
暗くて閑散とした中で運転してると、道に何かあるのか自体も発見が遅くなるし、停まっている事故・故障車のライトが光っていたとしてもそれが事故や故障で停まっている車とは瞬時には判断できず、「ん?なんだろう?」と思っている間に近づきすぎてしまい(相手は止まっていて自分は100km/hくらいで走っているので、あっという間に近づいてしまいます)、「まずい!」と気付いたときにはもう遅く、追突したり避けようとしてさらなる多重事故となってしまうのです。
特に、夜間故障などで普通に路肩に停めている場合、後続車は閑散とした暗い中を走っていて少し集中力も低下してるため、路肩にただ停車してる車のライトを見ても一目で停まっている車とは認識できず、普通に前を走っている先行車と勘違いしてしまう時があります。
その勘違いをすると、無意識に路肩の停車してる車の後ろについて走ろうと、停止してる車に近づいていってしまい、追突事故になってしまいます。
たいした故障でなくて不用意に夜間に路肩へ停車することは、とても危険な行為です。
移動ができるならば、P.A.や高速バス停留所など道幅が広くて明らかに停車している車と分かる場所で停車するようにしましょう。



さて、高速道路上で故障・事故などで停車せざるをえないときは、後続車に異変を明確に伝えるための行動が必要になります。
もっとも手っ取り早いのは、ハザードランプ(非常警告灯)です。
非常時には、まずとにかくハザードを点けることが大切です。

ハザードを点けてさらに余裕があれば、発煙筒をつけましょう。
発煙筒・発光筒は、明らかに普段とは違う光を放つので、後続車へ危険を知らせるのには、とても有効な手段です。
以前もいいましたが、決して値段の高いものではないので、安全のために積極的に使うべきです。
また不用意に車から降りると、後続車にひかれてしまう可能性があります。
降りる前に後続車に分かるよう、窓を開けて発煙筒をつけ車の外へ見せながら、発煙筒を持ったまま車から降りるようにします。
車が動かなくてドアも歪んで降りれないときでも、発煙筒をつけて車の外の後方へ放り投げておくだけでも、かなり有効といえます。
確実に後続車に危険を知らせるためには、できれば2、3本発煙筒を車載しておくと良いと思います。



続いて、深夜・未明の暗い中で高速を走るときには、何に気を付けて走ると良いのでしょう?
夜間、不意な故障・事故車や落下物などをいち早く見つけるためには、何をするべきか?
答えは、ライトのハイビーム(遠目)を多用することです。

結構皆さん知らないようですが、夜間安全に車を走らせるためには、ライトは常にハイビームというのが基本となります。
夜間暗いとき、本来はハイビームのまま走り、対向車や他の車、歩行者や自転車などがいるときにロービーム(近目)にするのが、夜間走行の本来の走り方です。

ハイビームは、最低100m先のものが認識できる明るさが備わっています。
一方ロービームは認識できる距離が30~50m以下と、ハイビームの半分以下となってしまいます。
高速道路では、おおかた100km/h前後のスピードで走る車が多く、100km/hでの制動距離(急ブレーキで停まるときに必要な距離)は普通自動車で約100mくらいとされます。
つまり、高速では最低100m先の状況が分かっていないと危険がともなう可能性があり、すなわち夜間の高速道路ではライトは常にハイビームでないと安全性が十分ではないといえるのです。

とはいってもなかなかハイビームは使いづらい、という人もいるかと思います。
そういうときは、普段ロービームにしておいて、たまにこまめにハイビームにするようにすると良いと思います。
先が真っ暗で見えづらいとき、カーブを抜けた先、路上に何か違和感を覚えたときなど、気になることがあったときは積極的にハイビームにしましょう。
数秒ハイビームにして何もないのを確認したあと、ロービームにして、また見づらいとか気になるときはハイビームにする。
面倒くさいかもしれませんが、ちかちかと光の当て方を何度も変えたほうが、路上の変化や状況の把握がしやすい効果があり、安全面で有効です。
あまり周りを気にせず、けれど周りに迷惑をかけすぎない程度で、どんどんとハイビームを使ってほしいと思います。(周囲に車がいる時は迷惑・危険となる時もあるので、ハイビームはなるべく使わないようにしましょう)

また一般道においても、市街地を走るときは常に周りに車や歩行者がいるのでロービームが基本かと思いますが、車が少ない道や深夜・未明ならば、対向車がいないときなどでは積極的にハイビームを使うようにしましょう。



以上のように、地方の高速道路の深夜・未明の走行は、都会の高速や昼間に比べると、危険性が思ったより高くなります。
「空いてるから楽だ」という人もいるし、割引もあるのでわざと深夜・未明の時間帯を選ぶ人もいますが、安全面でいえば昼間よりも危険性が高い、ということを認識しておく必要があります。
そういう地方の高速の運転に慣れていれば良いのですが、まだ慣れていない人にはそれなりに難しいかもしれません。
特に初心者の人などは、なるべく深夜・未明の時間は避けた方が良いかと思います。

まずはともあれ、深夜・未明の高速道路の危険性を、知っておいてほしいと思います。


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