2011/05/17
原発のメリット、デメリット(電力について考えてみる2)
今回は、原子力発電のメリットとデメリットを、整理して簡単に検証してみたいと思います。
(前の記事とかぶるところもありますが…)
まずメリットとして、わずかなウラン燃料で発電できること。
これは資源の少ない日本にとっては、プラス要因となります。
燃料が少なくて良いので、多く備蓄しなくても良い。
また、ウランは石油に比べると埋蔵量に余裕があるとされ、諸説ありますが石油より20〜30年長く産出できるそうです。
次に、発電を長く続けられること。
核分裂の性質上、一度反応を始めたら、連鎖によりずーっと分裂が続きます。
つまり、一度発電しだしたら、あとは昼夜通して一日中安定した発電量を出力し続けることができます。
ただし、これについてはデメリットな面もあります。
日本の電力使用量は昼間が多く、夜が少なくなっています。
昼の最大使用量を10とすると、夜はおよそその3割くらい。
電気は、技術的に容易に作り置きしたり蓄めておいたりできないので、基本は発電所を動かしたり止めたりして、発電量を調整することになります。
しかし、原発はその性質上すぐには止められません。(安全に止めるとなると、10時間以上かかるそうです)
したがって、夜間は電気が使われるか使われないか分からなくても、発電し続けることになります。
そして、夜間核分裂してる間も、放射性物質(核廃棄物)が生成され続けることになるのです。
これを「無駄」と言うべきかは賛否あるかと思いますが、需要が減り電力を作る必要がない時でも核分裂を続けざるをえないのは事実です。
次のメリットは、大規模発電が出来ること。
原発は長く安定的に、そして多くの電力が作ることができます。
これが、原発が電力の安定供給に欠かせない非常に大きなメリットだと思います。
この点については、いま話題に上げられている自然エネルギー発電では、今のところまったく及ばない点です。
ほかに利点は、発電時にCO2を排出しないことです。
火力発電と違って、地球温暖化の原因の一つと言われるCO2をほとんど出さないので、環境に良いとされています。
さて、デメリットについてです。
まずは一度発電しはじめたら容易には止められないこと。
上のメリットにあわせて記したとおりです。
必要か必要でないか分からなくても、電気を作り続けることになります。
次は、放射性核廃棄物ができてしまうこと。
上でも触れましたが、核分裂の後には強い放射線を出す、核廃棄物がどうしても出来てしまいます。
放射性物質が、環境に与える影響は無限大といわれ、その環境破壊の実態は把握しきれないそうです。
でも、きちんと安全に取り扱い、適切に処分すれば問題ないとされています。
これは賛否が分かれることだと思います。
次に、廃炉の際の処理・解体が、容易でないこと。
原発においても経年劣化があり、いつかは停止・廃炉にしなくてはなりません。
しかし、何十年と核分裂をし放射線を浴びてきた原子炉は、強く汚染されており、安全に処理・解体することは簡単ではありません。
廃炉にするだけでも数十年かかる、といわれています。
他には、多くの水を必要とするため日本では設置が海岸に限られること、テロなどの事件の標的にされる可能性があること、施設の規模が大きくなってしまうこと、などがあります。
そして最後は、原発の安全性の問題です。
核分裂はどうしても危険を伴うものです。
一度事故が起きてしまったら、取り返しのつかない大惨事となります。
そのリスクを十分抑えられる、高い安全性が必要となります。
前に、万が一も許されない100%の安全性が求められる、と述べたとおりです。
日本の原発は100%安全なはずでした。
少なくとも、政府、電力会社などからは、そうとしか聞いたことがありません。
でも、今回の福島の件から分かったことは、ちっとも100%の安全ではなかったということです。
すなわち、まだまだ原発の安全面は、多くの改善すべき点があることになります。
考えうるリスクを放置してきたということは、今回の事故は「人災」と言えます。
今後、その安全性をいかに高めていくか、大きな問題となっていくでしょう。
一通り、メリット・デメリットを見てきました。
原発について、多少なりとも理解が深めることができたなら、幸いです。
次回からは、個人的な考えと意見を加えていきたいと思います。
(次回へ続く)
(2012.1.31. 加筆、修正)
(前の記事とかぶるところもありますが…)
まずメリットとして、わずかなウラン燃料で発電できること。
これは資源の少ない日本にとっては、プラス要因となります。
燃料が少なくて良いので、多く備蓄しなくても良い。
また、ウランは石油に比べると埋蔵量に余裕があるとされ、諸説ありますが石油より20〜30年長く産出できるそうです。
次に、発電を長く続けられること。
核分裂の性質上、一度反応を始めたら、連鎖によりずーっと分裂が続きます。
つまり、一度発電しだしたら、あとは昼夜通して一日中安定した発電量を出力し続けることができます。
ただし、これについてはデメリットな面もあります。
日本の電力使用量は昼間が多く、夜が少なくなっています。
昼の最大使用量を10とすると、夜はおよそその3割くらい。
電気は、技術的に容易に作り置きしたり蓄めておいたりできないので、基本は発電所を動かしたり止めたりして、発電量を調整することになります。
しかし、原発はその性質上すぐには止められません。(安全に止めるとなると、10時間以上かかるそうです)
したがって、夜間は電気が使われるか使われないか分からなくても、発電し続けることになります。
そして、夜間核分裂してる間も、放射性物質(核廃棄物)が生成され続けることになるのです。
これを「無駄」と言うべきかは賛否あるかと思いますが、需要が減り電力を作る必要がない時でも核分裂を続けざるをえないのは事実です。
次のメリットは、大規模発電が出来ること。
原発は長く安定的に、そして多くの電力が作ることができます。
これが、原発が電力の安定供給に欠かせない非常に大きなメリットだと思います。
この点については、いま話題に上げられている自然エネルギー発電では、今のところまったく及ばない点です。
ほかに利点は、発電時にCO2を排出しないことです。
火力発電と違って、地球温暖化の原因の一つと言われるCO2をほとんど出さないので、環境に良いとされています。
さて、デメリットについてです。
まずは一度発電しはじめたら容易には止められないこと。
上のメリットにあわせて記したとおりです。
必要か必要でないか分からなくても、電気を作り続けることになります。
次は、放射性核廃棄物ができてしまうこと。
上でも触れましたが、核分裂の後には強い放射線を出す、核廃棄物がどうしても出来てしまいます。
放射性物質が、環境に与える影響は無限大といわれ、その環境破壊の実態は把握しきれないそうです。
でも、きちんと安全に取り扱い、適切に処分すれば問題ないとされています。
これは賛否が分かれることだと思います。
次に、廃炉の際の処理・解体が、容易でないこと。
原発においても経年劣化があり、いつかは停止・廃炉にしなくてはなりません。
しかし、何十年と核分裂をし放射線を浴びてきた原子炉は、強く汚染されており、安全に処理・解体することは簡単ではありません。
廃炉にするだけでも数十年かかる、といわれています。
他には、多くの水を必要とするため日本では設置が海岸に限られること、テロなどの事件の標的にされる可能性があること、施設の規模が大きくなってしまうこと、などがあります。
そして最後は、原発の安全性の問題です。
核分裂はどうしても危険を伴うものです。
一度事故が起きてしまったら、取り返しのつかない大惨事となります。
そのリスクを十分抑えられる、高い安全性が必要となります。
前に、万が一も許されない100%の安全性が求められる、と述べたとおりです。
日本の原発は100%安全なはずでした。
少なくとも、政府、電力会社などからは、そうとしか聞いたことがありません。
でも、今回の福島の件から分かったことは、ちっとも100%の安全ではなかったということです。
すなわち、まだまだ原発の安全面は、多くの改善すべき点があることになります。
考えうるリスクを放置してきたということは、今回の事故は「人災」と言えます。
今後、その安全性をいかに高めていくか、大きな問題となっていくでしょう。
一通り、メリット・デメリットを見てきました。
原発について、多少なりとも理解が深めることができたなら、幸いです。
次回からは、個人的な考えと意見を加えていきたいと思います。
(次回へ続く)
(2012.1.31. 加筆、修正)