2011/08/26
放射性物質の特徴
放射能汚染は、よく実状が分からないのでなおさら怖いものです。
「彼を知り己を知れば百戦して殆うからず…」というわけで、放射性物質について少し詳しく説明してみたいと思います。
特に個々の放射性物質の特徴について、説明します。
さっそく、ウラン核分裂によって生成される放射性物質を全部のせていきます。
(ウラン核分裂については以前の記事「電力について考えてみる1」を見てください)
長くなりますが、半減期(放射線が出なくなるまでの期間)やその特徴なども私の調べた限りですが、併せてのせます。
・ヨウ素 131、135 *
半減期 8.02日、135は6.57時間
主要な放射性降下物のひとつ。半減期がとても短く、強い放射線を放出するので急性被ばくの危険性がある。揮発性が高く、風などで広範囲に広がりやすい。放射性でない通常のヨウ素はホルモン生成に必要な必須栄養素で、放射性ヨウ素も通常のヨウ素と同じように人体に吸収され、主に甲状腺(首の下の辺り)にたまりやすい。ヨウ素135は半減期6.57時間が過ぎるとおよそ半分がセシウム134(半減期2年)に、残りは毒性のあるキセノンとなる。
・ジルコニウム
半減期 約153万年
半減期が長く、放射線は弱い。飛散することはあまり無いとされる。
・セシウム 137(134) *
半減期 約30年(134は2年)
主要な放射性降下物のひとつ。セシウム137は半減期が長く、放射線はやや強いとされる。初めは揮発性の高いヨウ素、キセノンなど(半減期およそ30秒〜3分)として一気に上空に舞い上がり、その後セシウムとなって風などで広範囲に飛散する。人体に取り込まれるとカリウムなどと同じように吸収され、主に筋組織(筋肉)にたまりやすい。しかしそのほとんどは、100〜200日で体外へ排出されるとされる。
・テクネチウム
半減期 約21万1千年
半減期は長く、放射線は弱い。飛散することはあまり無いとされる。
・ストロンチウム90 *
半減期 28.9年
主要な放射性降下物のひとつ。半減期は長く、放射線はやや強いとされる。飛散することはあまりないとされる。カルシウムとよく似ているため、体内に取り込まれると主に骨組織にたまりやすい。
・プロメチウム
半減期 2.62年
半減期はやや短めで、放射線は強い。飛散することはあまり無いとされる。
・サマリウム
半減期 2千兆年
安定的な物質で半減期は非常に長く、放射線はとても弱い。飛散することはほぼ無いとされる。物質そのものに毒性があるとされている。
以上です。
ちなみに生成される量の多さの順に上から並んでいるので、ヨウ素は多く、サマリウムはわずかしか生成されません。
主要な放射性降下物として危険とされているのは*印をつけた、ヨウ素、セシウム、ストロンチウムの3つです。
他の飛散しにくい物質も、半減期が非常に長いものもあり、また放射線は弱くても量が多ければ放射線量が強くなるので、処理が難しい、いわゆる高レベル核廃棄物となります。
最後に核分裂によって生まれるわけではありませんが、危険とされるプルトニウムについて触れておきます。
・プルトニウム
半減期 約2.4万年
半減期は長く、放射線は弱い。非常に重い物質で飛散することはほぼ無い。物質そのものに毒性があり、動物が13mg吸入すると50%が死亡するとされる。肝臓などに溜まりやすいとされ、30~40年体内に留まるという。核兵器の原料の一つとして有名だが、原発で生成されるものは非常に不安定で、衝撃を与えると発火したり核分裂反応したりするため、兵器用には向かない。ウラン核分裂によってプルトニウムになるのではなく、ウランが中性子をとらえその一部がプルトニウムとなる。正確にはウラン238→ウラン239→ネプツニウム239その後プルトニウム239となる。
プルトニウムは基本ほんのわずかしかできず、燃料の量に占める割合としては1%未満です。
飛散することはほぼ無いのですが、毒性もあり危険とされるので、一応載せました。
長くなったので今回はここまで。
あとの細かい話などは次回にします。
「彼を知り己を知れば百戦して殆うからず…」というわけで、放射性物質について少し詳しく説明してみたいと思います。
特に個々の放射性物質の特徴について、説明します。
さっそく、ウラン核分裂によって生成される放射性物質を全部のせていきます。
(ウラン核分裂については以前の記事「電力について考えてみる1」を見てください)
長くなりますが、半減期(放射線が出なくなるまでの期間)やその特徴なども私の調べた限りですが、併せてのせます。
・ヨウ素 131、135 *
半減期 8.02日、135は6.57時間
主要な放射性降下物のひとつ。半減期がとても短く、強い放射線を放出するので急性被ばくの危険性がある。揮発性が高く、風などで広範囲に広がりやすい。放射性でない通常のヨウ素はホルモン生成に必要な必須栄養素で、放射性ヨウ素も通常のヨウ素と同じように人体に吸収され、主に甲状腺(首の下の辺り)にたまりやすい。ヨウ素135は半減期6.57時間が過ぎるとおよそ半分がセシウム134(半減期2年)に、残りは毒性のあるキセノンとなる。
・ジルコニウム
半減期 約153万年
半減期が長く、放射線は弱い。飛散することはあまり無いとされる。
・セシウム 137(134) *
半減期 約30年(134は2年)
主要な放射性降下物のひとつ。セシウム137は半減期が長く、放射線はやや強いとされる。初めは揮発性の高いヨウ素、キセノンなど(半減期およそ30秒〜3分)として一気に上空に舞い上がり、その後セシウムとなって風などで広範囲に飛散する。人体に取り込まれるとカリウムなどと同じように吸収され、主に筋組織(筋肉)にたまりやすい。しかしそのほとんどは、100〜200日で体外へ排出されるとされる。
・テクネチウム
半減期 約21万1千年
半減期は長く、放射線は弱い。飛散することはあまり無いとされる。
・ストロンチウム90 *
半減期 28.9年
主要な放射性降下物のひとつ。半減期は長く、放射線はやや強いとされる。飛散することはあまりないとされる。カルシウムとよく似ているため、体内に取り込まれると主に骨組織にたまりやすい。
・プロメチウム
半減期 2.62年
半減期はやや短めで、放射線は強い。飛散することはあまり無いとされる。
・サマリウム
半減期 2千兆年
安定的な物質で半減期は非常に長く、放射線はとても弱い。飛散することはほぼ無いとされる。物質そのものに毒性があるとされている。
以上です。
ちなみに生成される量の多さの順に上から並んでいるので、ヨウ素は多く、サマリウムはわずかしか生成されません。
主要な放射性降下物として危険とされているのは*印をつけた、ヨウ素、セシウム、ストロンチウムの3つです。
他の飛散しにくい物質も、半減期が非常に長いものもあり、また放射線は弱くても量が多ければ放射線量が強くなるので、処理が難しい、いわゆる高レベル核廃棄物となります。
最後に核分裂によって生まれるわけではありませんが、危険とされるプルトニウムについて触れておきます。
・プルトニウム
半減期 約2.4万年
半減期は長く、放射線は弱い。非常に重い物質で飛散することはほぼ無い。物質そのものに毒性があり、動物が13mg吸入すると50%が死亡するとされる。肝臓などに溜まりやすいとされ、30~40年体内に留まるという。核兵器の原料の一つとして有名だが、原発で生成されるものは非常に不安定で、衝撃を与えると発火したり核分裂反応したりするため、兵器用には向かない。ウラン核分裂によってプルトニウムになるのではなく、ウランが中性子をとらえその一部がプルトニウムとなる。正確にはウラン238→ウラン239→ネプツニウム239その後プルトニウム239となる。
プルトニウムは基本ほんのわずかしかできず、燃料の量に占める割合としては1%未満です。
飛散することはほぼ無いのですが、毒性もあり危険とされるので、一応載せました。
長くなったので今回はここまで。
あとの細かい話などは次回にします。
追記です。
もうひとつ載せておくべき放射性物質がありました。
核燃料そのもの、ウランです。
ウラン 235、238
半減期 7億年、238は44億年
半減期はとても長く、放射線は弱い。地球上自然界に存在する物質の中で、最も核質量が重い物質。飛散することはほぼ無い。ウラン235が核分裂物質で、238は核分裂はしない。自然界では99%以上がウラン238、残りわずかがウラン235で、核燃料は235の量を5~10%に濃縮しなくてはならない(ウラン濃縮)。体内に取り込まれると、骨と肝臓に溜まりやすいとされ、十年以上体内に留まるという。
もうひとつ載せておくべき放射性物質がありました。
核燃料そのもの、ウランです。
ウラン 235、238
半減期 7億年、238は44億年
半減期はとても長く、放射線は弱い。地球上自然界に存在する物質の中で、最も核質量が重い物質。飛散することはほぼ無い。ウラン235が核分裂物質で、238は核分裂はしない。自然界では99%以上がウラン238、残りわずかがウラン235で、核燃料は235の量を5~10%に濃縮しなくてはならない(ウラン濃縮)。体内に取り込まれると、骨と肝臓に溜まりやすいとされ、十年以上体内に留まるという。